爺ちゃんは病室に誰もいないことを確認して、私にそっと耳打ちをした。
「良いか? ケツのあったかい女は抱くな! 病気を持ってるぞ!」
数日後、爺ちゃんは静かに息を引き取った。
今でも思い出す。 爺ちゃんの遺言。
あれは爺ちゃんの過去の経験から生み出されたメッセージだったのだろうか?
それはまるでシーグラスのように…
爺ちゃんの人生が色々な経験を経て削り削られ…人生という波間を漂った結果、
最期に孫に届けられたひとつの宝石だったのではないか?
「爺ちゃん…最初はケツが冷たかった女のケツがある日を境にあったかくなった時はどうしたら良いんだよ!!」
まだ、爺ちゃんに聞きたかったことがいっぱいあった。
今、コロナが世界的に流行し、人類は未曽有のパンデミックに襲われている。
感染症に気をつけること。
あの日、爺ちゃんはきっとそういう方向性で孫にメッセージを送ったのだろうと思ったり思わなかったりする。
ありがとう。爺ちゃん。