忘れもしないあの日のことは…忘れようと思っても忘れられないあの日。 あの日、僕は仕事終わりにヤマダ電機で携帯のワイヤレス充電器を買っていた。 どれにしようかと迷っている時に携帯が鳴った。 友達からの電話だった。 「もしもし、燃えてるよ!火事。今…
冬になると3メートルもの雪が積もる山奥に住んでいた僕。 近くのコンビニまで車で1時間。テレビすらまともに映らないような山の中。 ある日、父親と東京の親戚の家に出掛けることになった。 はじめての東京。 今みたいに何でもGoogle先生が教えてくれる訳で…
ある日、異動になった。 新しい異動先には社内でも有名なとても厳しい上司がいた。 泣く子も黙る霜鳥所長… 所長は社内でも恐れられていた。 幸いなことに僕はその上司と上手く関係性を築けたこともあって、キツい指導を受けることはなかったのだが…… 当時、…
その日は会社の飲み会だった。 そろそろお開きになろうかという時、久しぶりに地元の友人から電話がかかってきた。 「タケシ。久しぶり。突然、電話してごめん。あのさ…今日、お前の親父の旅館で飲み会だったんだけど…ちょっと気になることあって…電話したん…
人の顔は覚えられるのに名前が覚えられない。 何かの病気かな?と思うくらい覚えられない。 ようやく覚えた人の名前も突然、忘れることがある。 しかも、何年も仲良くしている友達と「あの時、めっちゃ笑ったよね!思い出すだけで笑いが止まらないよ」と大笑…
慌ただしいという字は人が荒れると書き、忙しいという字は人が亡くなると書く。 荒れましたねぇ…もはや人では無くなっていたのかも知れません。 なんでしょうこの慌ただしさと忙しさは…という毎日を過ごし、早いもので今年も残すところあと340日程となりまし…
YouTubeのCMくらい唐突にお釈迦様の話をします。 お釈迦様(ゴータマ・シッダールタ)は釈迦族の王子としてこの世に生を受けます。 生後7日目に母親が死去。その後、母親の妹が母親代わりとなり育てます。 16歳で隣国の王女と結婚(一説には他に2人の妻がいた…
我が家には和式トイレしかなかった。 僕が中学生の頃、トイレを改装することになったが、父親と母親に意見の対立が生じていた。 母親は洋式トイレにしたいと主張する。僕も妹も洋式トイレに賛成した。 しかし、父親は「洋式トイレだとウンコが出ない。男は黙…
大学時代にコンビニでバイトをした。 コンビニの業務はなかなか大変である。 2人1組で業務に携わる中で、僕には友人が出来た。 秋田出身の畑山くん。 朴訥とした雰囲気を持ち、時折、秋田訛りで話をする彼とはすぐに打ち解けた。 忙しい時間帯を過ぎ、深夜…
昔、付き合っていた彼女はエキセントリックな人だった。 「ハガキって高いよね…切手と同じ値段だ」と切手付きハガキにまた切手を貼ったり… 「卵焼き作ってみたよ」と出された卵焼きには干し芋が巻かれていたり… 「ノリがない…困ったな」と言い、ご飯粒をノリ…
ある朝、急に動けなくなった。 腰から下に力が入らない。足が全く動かない… 救急車を呼んだ。診断は椎間板ヘルニア。 入院してしばらくするとおしっこが出にくくなってきた。 ヘルニアが悪化し、排尿障害が生じていた。 「このまま尿が出にくければ、尿道か…
ある朝、急に動けなくなった。 腰から下に力が入らない。足が全く動かない… 救急車を呼んだ。診断は椎間板ヘルニアの悪化による神経障害。 「まずは入院して安静にしましょう」とのことで入院することになった。 整形外科病棟は骨折や腰痛などで思うようには…
それは高校一年の夏休みの朝だった。 「あれ?…お父さんは?」 いつもなら腹を空かせた牛が牧草を貪り食うような勢いで朝食を食べているはずの父親の姿がない。 「なんかね…明け方に山に行くって言って…まだ帰ってこないのよ。何かあったんじゃないかと…」と…
書道家に字を褒められた父親は旅館の至る所に字を書き、貼り出し始めた。 「タケシ!どうだ!この言葉。凄いだろ?深いだろ?」 あたかも自分で思いついた名言のように話すが、これは新選組の近藤勇の言葉だった。 「お父さん。ダメだよ!これ、パクリでしょ…
父親は旅館に勤めていた。 旅館とは言うが、食堂はあるわ、冠婚葬祭や法事は行うわ、飲み会も…そして、食材や洗剤なども売っている商店みないな店も併設していた。 そして、この謎の旅館で父親の肩書は調理師だったが、仕入れから調理、バスでの送迎、冠婚葬…
幸せとはなんだろうと考える。 幸せは人それぞれだ。 相田みつをも言っている。「幸せはいつも自分の心が決める」 まさにそうだ。 幸せの定義は人それぞれだ。 ある人は白いご飯を食べられたらそれだけで幸せだというかも知れない。 一方である人は年収700万…
僕らは初めて産まれたんだ。 だから、失敗なんて当たり前。どんなことにも「はじめて」はあるんだ。 僕と父親は2人で買い物に出掛けた。その日は父親が旅館の仕事で忙しく、ゆっくり過ごす時間は無かった。 「タケシ。腹減ったな。飯食ってくぞ!時間も無い…
「たけし。明日のスキー教室の準備出来たの?」 「うん。お母さん。準備したよ!スキーウエアに…スキーも持ったし…おやつも入れたよ。お昼はみんなでカレーだって♪ 楽しみだなぁ。スキー教室」 「初めてのスキー教室だもんね。楽しんできてね!」 「うん!僕…
「パフェの語源はパーフェクトだよ!」という情報くらいに既にご存じの方もおられましょうが… 私が産まれた家ではテレビがまともに映らなかった。 ※ 気になる人はblogのアンテナを読んでみよう♬ さて、中学生の頃といえば、自意識が芽生え、格好をつけたくて…
「カボチャの語源はカンボジアだよ!」という情報くらいに既にご存じの方もおられましょうが… 私が産まれた家ではテレビがまともに映らなかった。 ※ 気になる人はblogのアンテナを読んでみよう♬ 中学生になった時にクラスのみんなが「昨日、月9観た?」と盛…
クラスメートの美帆ちゃんは誰からも好かれる女の子だった。 美帆ちゃんはとてもオシャレで、小学生の僕たちが見たこともない素敵な服や小物を身に着けて学校に来ていた。 冬のはじまり。美帆ちゃんがミトン型の手袋をしてきた。 「うぁ~♡ 美帆ちゃん可愛い…
はじめて彼女が実家に泊まりに来ることになった。 母親は数日前から「緊張しちゃうな。ご飯なに作れば良いんだろう?」と繰り返している。妹は「こんな山奥に…良く遊びに来るねぇ。お兄ちゃんの何が良いんだろう?」などと生意気を言いながらも、どこか嬉し…
冬になると3メートル程の雪が積もる雪深い山間部の村で僕は産まれた。 雪がしんしんと積もる夜。 静かな夜に真っ白な雪が音もなく空から降ってくる。 炬燵に入り、家族でテレビを観ていると爺ちゃんが言う。 「またテレビが映らなくなった。アンテナの雪を…
婆ちゃんはとにかくせっかちで気が短かった。 今でも思い出される姿がある。 朝、起きると婆ちゃんが下着姿に紫のはんてんだけを羽織り、畑を走り回りながら水やりをしていた。 「起きるのが遅くなってしまった。朝飯前に水やりをしなくちゃ」と言い、髪を振…
爺ちゃんは病室に誰もいないことを確認して、私にそっと耳打ちをした。 「良いか? ケツのあったかい女は抱くな! 病気を持ってるぞ!」 数日後、爺ちゃんは静かに息を引き取った。 今でも思い出す。 爺ちゃんの遺言。 あれは爺ちゃんの過去の経験から生み出…
私の父親は、その昔、村議会議員選挙に立候補した。 熱を帯びる選挙活動。1票が勝敗を分ける熱い戦い。 選挙活動のさなか、爺ちゃんの友達が家に来てこう言った。 「よし! 俺も1票入れるよ!」 だが、爺ちゃんの友達は字が書けなかった。 選挙当日、爺ち…
「お母さーん。おーい。お母さーん。冷蔵庫にチーズあったろ?」 「えっ? なに? お父さん… チーズ? チーズならあるけど…」 「ちょっと急いで持ってきてくれないか?」 「なに? どうしたの? はい。これ、チーズだけど…」 「いや、ほら…チクワなんだけど…
あるお宅でお昼ご飯に誘われた。 「ちょうど新米が取れたので…何もないけど、おにぎりと味噌汁でもどうぞ」 腰の曲がった婆ちゃんが台所で一生懸命料理をしてくれた。 雪みたいに真っ白な新米から立ち上る湯気。 「いただきます!」 「新米を味わって欲しく…
忘れられない人がいる。 うちの爺ちゃんの友達。良く爺ちゃんと2人でお酒を酌み交わしていた。 「この外国人 日本語上手いなぁ…。日本人みたいだ」 友達が帰った後に爺ちゃんは教えてくれた。 「あのな、アレは吹き替えだ」って… 爺ちゃんの友達は文字や数…