爺ちゃん
はじめて彼女が実家に泊まりに来ることになった。 母親は数日前から「緊張しちゃうな。ご飯なに作れば良いんだろう?」と繰り返している。妹は「こんな山奥に…良く遊びに来るねぇ。お兄ちゃんの何が良いんだろう?」などと生意気を言いながらも、どこか嬉し…
冬になると3メートル程の雪が積もる雪深い山間部の村で僕は産まれた。 雪がしんしんと積もる夜。 静かな夜に真っ白な雪が音もなく空から降ってくる。 炬燵に入り、家族でテレビを観ていると爺ちゃんが言う。 「またテレビが映らなくなった。アンテナの雪を…
爺ちゃんは病室に誰もいないことを確認して、私にそっと耳打ちをした。 「良いか? ケツのあったかい女は抱くな! 病気を持ってるぞ!」 数日後、爺ちゃんは静かに息を引き取った。 今でも思い出す。 爺ちゃんの遺言。 あれは爺ちゃんの過去の経験から生み出…
私の父親は、その昔、村議会議員選挙に立候補した。 熱を帯びる選挙活動。1票が勝敗を分ける熱い戦い。 選挙活動のさなか、爺ちゃんの友達が家に来てこう言った。 「よし! 俺も1票入れるよ!」 だが、爺ちゃんの友達は字が書けなかった。 選挙当日、爺ち…
忘れられない人がいる。 うちの爺ちゃんの友達。良く爺ちゃんと2人でお酒を酌み交わしていた。 「この外国人 日本語上手いなぁ…。日本人みたいだ」 友達が帰った後に爺ちゃんは教えてくれた。 「あのな、アレは吹き替えだ」って… 爺ちゃんの友達は文字や数…